太宰治の作品の中で。

「津軽」が一番好き。
自殺未遂やらドラッグ中毒やらから立ち直って、まっとうな道を歩き始めた太宰さんが、ひさしぶりにふるさとに帰る、紀行文学みたいな感じ。
雰囲気も微妙に明るくて、なつかしい風景がたくさん。
面白い場面はたくさんあるけど、今回思い出したのが、ある宿屋での話。
太宰さんと2人のお友達が丸ごとの鯛をもって、いい感じの宿屋に入る。鯛を宿の人に渡して、「これをこのまま塩焼きにして持ってきて下さい。」とお願いする。
その後、鯛が来た時の場景がおもしろい。ちょっと抜書き。
” 頭も尾も骨もなく、ただ鯛の切身の塩焼きが五片ばかり、何の風情も無く白茶けて皿に載っているのである。(中略)私はそれを一尾の原形のままで焼いてもらって、そうしてそれを大皿に載せて眺めたかったのである。食う食わないは主要な問題ではないのだ。私は、それを眺めながらお酒を飲み、ゆたかな気分になりたかったのである。
(中略)「つまらねえ事をしてくれた。」お皿に愚かしく積まれてある五切れのやきざかな(それはもう鯛では無い、単なる、やきざかなだ)を眺めて、私は、泣きたく思った。(中略)私は、わけのわからぬ乾盃を強いられ、鯛の鬱憤の成果、ひどく酩酊して、あやうく乱に及びそうになったので、ひとりでさっさと寝てしまった。いま思い出しても、あの鯛は、くやしい。だいたい、無神経だ。”
サービスのツボは難しい。。そう、ご飯は食べやすさより見た目が大事なときもある!!(`□´/)/
KEIKO said,
10月 17, 2009 @ 04:22
太宰さん、一冊目に読んだのがあまりにもしんどくて
その後 一冊も読んでません。
そんな本もあるんですね~。チャレンジしてみようかな。
鯛、私もそんなことされたら 怒ると思います(^^)
Ranita said,
10月 17, 2009 @ 06:30
Keikoさん、コメントありがとうございます!
太宰さんはどちらかというと、作品より本人の人生の方が面白い人だなあと思ってます。でも中期には精神的にも安定してて、しんどさの少ない作品もありますよ☆
中期の短編(こういうときスペイン語だと「短編」は複数になりますね~。)はおすすめです♪ とにかく日本語がきれいですよね。
ちなみにこの「津軽」はラストが印象的です。